ECVT車に乗ろう!
ジャスティに始まり、ヴィヴィオで終わったスバルの徒花、「ECVT」 レックスでは3代目B型(KG1/2、KN1/2後期型)より搭載が開始され、最終型までAT車といえばECVTだった。 ECVTの特徴と弱点を掴んで、楽しく、よりよいECVTライフを送ろう! 【注意】以下の記事は「レックスのECVT」に関する記事です。 ジャスティ、サンバー、ヴィヴィオ、マーチ、キューブ等、他のECVT車と当てはまるかは不明です。 そもそもECVTってなに? ECVTとは、現在(H15年)流行の「無断変速装置」の先駆け、いや、元祖である。 先に他社等で実績のあった「オートクラッチ車」の進化型とも言えるのだろうか?(2代目レックスにもいたか?) 構造を簡単に言うと、発進用の電磁クラッチ、前後進切換機構、無断変速用の2つのプーリとスチールベルト、油圧制御機能、終減速装置らしい。 変速は後退のみ固定で、前身は、プライマリ(動力側)、セカンダリ(車輪側)の2つのプーリの溝幅を変えることによって変速比を換えている。 ロー状態(ギア比2.503)は、プライマリの溝幅を広げ、セカンダリの溝幅を狭める。前3段、後7段の21段変速自転車で言うと、前がギアの小さい1、後がギアの大きい1という感じになる。(前・<○後) 逆にオーバートップ状態(ギア比0.497)は、プライマリの溝幅を狭め、セカンダリの溝幅を広げる。上記の自転車で言うと、前3、後7というとてもペダルが重たくて坂なんか登れねえぞという状態になる。(前○>・後) この動きは、アクセル開度とエンジン回転数、車速を入力信号として、制御されているらしい。 ECVTではこのプーリの他に、スチールベルトという重要な部品がある。 このスチールベルトは、約280個のスチールブロックと、0.2mmのスチールバンドを10枚重ねたもの2本で構成されている。 スチールベルトはプライマリ、セカンダリの2本のプーリに架けられており、スチールブロックに圧縮作用が働いて、動力伝達が起こることになっているようだ。 原理をそのまま本から抜粋すると、 セカンダリプーリに油圧が作用しブロックを挟む→ブロックが外側に押し広げられる→スチールベルトが踏ん張る→ スチールバンドに張力が発生する→プライマリプーリ側のブロックとプーリ間に摩擦力が発生する という仕組みらしい。 一応本によると、「スチールブロックとスチールバンドが役割を分担しており、スチールバンドの張力は全体で分散して受け持たれ、かつ応力変動も少なく、耐久性に優れている」ことになっているらしい…。 KH3/4、KP3/4が出た時の新型車解説書によると、パワープラント表でのECVT車(NA)の説明には「変速ショックがないスムーズな走り、好燃費そして安全性を実現するスーパーオートマチック」とうたっている…。 で、ECVT車の特徴って? ECVTの仕組みを紹介したので、ECVT車の実際の特徴をあげてみよう。 1.クリープが発生しない トルコンのAT車では当たり前に発生する「クリープ現象」がECVT車には無い。つまるところ、坂道でブレーキもアクセルも踏まずにいると、車は下がっていく。坂道での「坂道発進」は必須だ。これはECVTが出た当時、(1980年代後半)は、AT車の増加と共に、AT車による急発進事故が急増した時代でもあった。ブレーキとアクセルを踏み間違えたという笑えない物も多かったが、「クリープ現象」によるのろのろ運転で挟まれたという事故も多かったように記憶している。このため、ECVTからは「クリープ現象が無くなったと管理人は確信している。 しかし、「AT車はクリープがつき物」という固定観念が批判に繋がり、プレオから搭載されたi−CVTではちゃんとクリープ現象が発生するようになってしまった。 2.変速ショックがない CVTが「無断変速装置」を意味しているのだから当たり前と言えば当たり前。NA車にはタコメータが装備されていないが、タコメータを装着、もしくはS/C車のタコメータを見ていると、「アクセルを踏んでいるのに回転数が思ったほど上がらない」という状況にしょっちゅう遭遇する。これは、ECVTが最適なギア比に調整し続けているための現象で故障ではなく、ECVTの売りである「無断変速」が実行されている瞬間である。 また、「無断変速」であるため、トルコンAT車にあるギアチェンジ時の「カックン」という動きも無く、特に同乗者にはありがたいらしい。さらに、この無断変速というのは、雪道では急な動力の伝わり方がないため重宝するものらしい。 ただし、「D」→「Ds」チェンジ時やその逆は、通常通り変速ショックが発生する。これは「走行モード切換」のための操作であるから、やむえないと言えるだろう。 じゃあ、ECVT車の弱点って? 弱点はいっぱいあります(^^;) 1.クリープが発生しない やっぱりこれかい(^^;) クリープが発生しないため、坂道では発進時、確実に下がります。そのため、坂道発進が必須なのは前述の通り。 他にも、発進時にアクセル開度が大きすぎるとホイールスピンしたり、微妙な動きにもアクセル/ブレーキでの調節が必要になったり…とある意味少々上級者向きかも(^^;) 2.低速時(特に減速時)にガタガタする これはECVTというより電磁クラッチの弱点(^^;) ある程度の速度から減速すると、15km/h前後くらいからガタガタという車が変な動きをする。これはおそらく、直結モードと呼ばれる、クラッチが直結されているのに、速度が下がり続け、エンジンブレーキが起きているのではないかと推測する(管理人はメカ音痴であることを宣言しておく(^^;)。他にも、6km/h以下のアクセル開放でおこる「ドラッグモード」による「ひきづりトルク」によるものかもしれない。 (解説書に「ひきづりトルクのバラツキによるアイドル回転数の低下や、車両のクリープ防止のため、アイドル回転数をフィードバックさせ、ひきづりトルクの適正制御を行っている」とあるので、この「適正制御」が上手くいっていない可能性もある(^^;) これを回避する方法は無いので、どういう時にガタガタするかを覚えて、それをどうやったら軽減出来るか試して覚えよう。 慣れてくると、上り坂なんかではノンブレーキ(最後はサイドで固定)で止まれるようになるぞ。 【管理人レックスの場合】 停車直前の減速時に発生(中速以上からの停車)する。 ガタガタの1発目来るまではブレーキを踏んでいるので、ガタガタの1発目が来たら、ブレーキを離し、しばらく惰行状態にする。ガタガタが収まったら再びブレーキを踏む。これを繰り返す。 このため、ブレーキ操作は、最初はきつ目でスタートし、ガタガタが来たらブレーキ開放、後はこまめなブレーキ操作となり、最後は停車寸前にブレーキをやや緩めてストップとなる。 この操作で2発目以降の「ガタガタ」は来なくなった。 あと、「Ds」にシフトダウンすると、シフトショックは来るが、ある程度まで減速した後、「D」に戻すとガタガタがない場合が多い。 3.チェンジレバーの動きが堅い 原因は不明だが、なぜか異常に堅い(^^;) ウチのだけかも知れないが、以前ヤフオクでも「シフトが堅い」と書かれていたレックスがあったので、おそらく全車的な問題ではなかろうか(^^;) これは力任せに行くしかないです。 あと、アクセルを踏んでいる時に「N」レンジに戻さないようにさせる工夫かも…(やったら確実に耐久性が下がりますよ〜(^^;) 4.脆い 普通のトルコンATに比べると、電磁クラッチの耐久性は確実に脆いらしい。また、ECVTの要とも言えるスチールベルトも経年劣化でちぎれると、ほぼ交換不能。こうなったらミッション交換か乗り換えを検討しましょう(^^;) また、過激な動きになりがちなS/C車は更に脆いと某スバル正規中古車販売店のスタッフが言っていた…。 5.シフトチェンジが遅い 「D」→「Ds」へのチェンジが遅く、下り坂でのエンジンブレーキ操作には十分注意する必要がある。特にエアコンを「3」でかけている時などは数秒かかる場合もあり、下り坂でシフトチェンジによるエンジンブレーキを多用する場合はエアコンを使用しない方が賢明と言えよう(^^;) なお、これはECVTオイルの交換によって改善する場合もある。 6.うるさい 常に金属ベルトが回っているため、普通のトルコンAT車に比べるとかなりうるさい。同じレックスでもMT車とECVT車を並べると「同じエンジン??」と思うくらいうるさい。しかも甲高い。これは回避のしようがありません(^^;) 7.重い 同じCX−iでも、MT車とECVT車では20kgも重さが違う…。重い車は当然燃費も落ちるでしょう…。 (パワステ付は更に+10kg) 少しはECVT車のことがわかったかな? (どうだろう?) 以上でレックスECVT車の紹介は終わり! 他にも情報があったら、教えてね! 参考文献 660レックス新型車解説書 1990年富士重工発行 内容に関しては、管理人がメカ音痴のため間違っている可能性を否定出来ません。 記事内容を使用の際は、自己責任でお願いします。 |